面白い米ドル建て養老保険!?ソニー生命の「米ドル建特殊養老保険」について仕組みや返戻率、運用利回りなどの点から考えてみた

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外貨建ての生命保険を保険会社各社が発売する理由

生命保険会社各社が外貨建ての生命保険を相次いで発売している。なぜ日本で営業をする生命保険会社が外貨建ての生命保険を販売するのだろうか?

考えられる理由の1つとして、日本国債をベースに運用する円建ての生命保険が、契約者に提供できる利回りもそれほど高くなく、加えて生命保険会社にとっても利益が薄いことがあるだろう。

日本国債よりかは運用利回りの高い外貨で運用するほうが契約者にとっても利回りを高く出せるし、保険会社にとっても利益を取りやすい。そんな事情もあって生命保険会社は、外貨建ての生命保険を作っているのだろうと思う。

ソニー生命が平成25年5月2日より新商品の「米ドル建保険」を発売

ソニー生命は、平成25年5月2日より新商品「米ドル建保険」を発売した。

商品種類は3種類で、「米ドル建終身保険」、「米ドル建養老保険」、「米ドル建特殊養老保険」に分けられる。支払った保険料に対する解約返戻金の面から考えて、1番有利であると思われる「米ドル建特殊養老保険」について考えてみたい。

ソニー生命の「米ドル建特殊養老保険」のしくみとポイント

まず、しくみについてであるが、この米ドル建特殊養老保険は、ドル建保険料を円に換算して円貨で払い込み、保険金の受け取りの際は米ドルまた円貨で受け取ることができる米ドル建の養老保険だ。(米ドル建の保険であるものの、米ドルで保険料を払うことはできない。)

ちなみに養老保険とは、決まった期間保険料を支払い、満期になると満期保険金を受け取れるしくみの保険で、老後の生活資金などを貯めるためによく用いられる保険だ。

保険という名前がついているように、保険期間の途中で死亡した場合は、満期保険金が支払われる代わりに死亡保険金が支払われる。

そのようなしくみであるため、被保険者が満期まで生存していた場合は自分の将来のためにお金を使うことができるし、万が一死亡してしまった場合は、残された家族に葬儀費用などのお金を残すことができる。

ソニー生命の米ドル建特殊養老保険は、米ドル建で作られている保険商品のため、利回りを決める予定利率は米国債を基準に設定されている。

もちろん現在の金利水準で考えると日本円で運用するよりも利回りは高い。なお、ソニー生命が公表している平成25年5月時点の予定利率は2.75%だ。

日本国債の金利は、ここ最近のところ0.8%から1%位で推移しているため、金利だけを見ると2倍から3倍位の計算となる。(日本の金利がとても低過ぎるので2倍から3倍位といってもそれほど大したことではないが)

特殊養老保険の「特殊」の意味

「特殊」というと、よほど変わったものであるかのようなイメージがあるが、この保険商品についてはそんなこともないだろう。

通常の養老保険とのしくみを比較するとよくわかるのだが、通常の養老保険は死亡保険金や高度障害保険金が一定額であるのに対し、特殊養老保険のほうは、保険期間の後半から経過年数に応じて保障額が増加していく。

ソニー生命の発表しているプレスリリースの契約例を見ていると、契約当初は普通の養老保険の50%の保障額からスタートし、保険期間が最後になるにつれ50%が100%になり、普通の養老保険と同じ程度の保障額が用意されるようになっている。

ソニー生命の普通の養老保険と比べてなぜ契約の半分程度の保障額しかないかということであるが、保障額よりも満期保険金の返戻率を重視したいという人のニーズに応えてのことだと思う。

実際に、通常の養老保険よりも満期保険金で見るとこちらのほうが利回りが高い。

契約してもよいおすすめな保険なのか?

プレスリリースの契約例を見ると、35歳男性の契約で、278.95米ドル(1米ドルを100円と仮定すると約2万8,000円)の保険料を毎月払い、保険期間である25年後の60歳に保険契約が満了した場合、戻ってくる満期保険金が10万米ドルとなっている。

支払った保険料の累計は8万3,685米ドルだから、返戻率を計算すると119.4%になる。やはり運用として考えた場合、米国債を買ったほうが当然運用利回りはよくなる。

単純に増えた19.4%を25年の経過年数でわると1年あたり0.776%、複利計算ではこれでは正しくないので、改めて複利計算すると、0.7118%となる。

当たり前のことではあるが予定利率が2.75%であるのに対して運用利回りは相当に低い水準だ。このようなことから、純粋な資産運用として考えるならばこのような保険はやめたほうがよい。

ただし、これは当然のことでもある。なぜならば純粋な運用商品ではなく死亡保障がついた保険であるからだ。もちろんその死亡保障の費用に加えて保険会社の利益もとられている。

これらのマイナス点を踏まえた上でも、全く運用にならない日本円での保険にうんざりしている人、保険で万一の死亡保障を準備しながら、ついでに自分の資産を少しリスクの高いところで作っておきたいと考える人は向いているのではないかと思う。

検討する上での注意点

この商品を検討する上での注意点であるが、保険料や保険金額、解約返戻金額などが全て米ドル建のため、支払う保険料や受け取る保険金、解約返戻金などはもろに為替相場(米ドルの相場)の影響を受けることになる。

いくら20年で110%になったとしても、それ以上に為替が円高になると意味がないし、逆に、為替が円安になった場合はそれ以上の利益が出ることもある。ある意味で、資産運用でもあり、ばくちであるようなイメージだ。

こういった為替リスクを少しでも抑えたいと思うならば、保険料の払込期間を短くすることも1つのアイデアだ。

保険料払込期間を短くすることで保険料を早くに払い終えることができ、払い終えた後は解約も比較的しやすくなる。できればであるが、保険料払込期間を15年以下には抑えたいところだ。もちろん一定の保険料を長い期間から短い期間で支払うため毎月の保険料負担は上がってしまう。

この保険の保険料払込期間は、以下の10種類だ。
10年、 15年、 20年、 25年、 30年、 60歳満期、 65歳満期、 70歳満期、 77歳満期、88歳満期(それぞれ年齢による制限があるので確認が必要だ)

また、外貨を保有することは資産運用上の戦略にとってよいと思うが、米ドルだけに偏るのはよいことではない。

ユーロや豪ドル、ニュージーランドドルや人民元など、適度な通貨の分散が必要である。ニュースリリースにあるような契約例のような契約をした場合、普通の人であれば資産の大部分を米ドル資産が占めることになる。資産のドルへの一極集中はリスクだ。

運用利回りでは不満が残るものの保険としては面白い商品

トータルで考えると、為替リスクがとても大きいものの、運用による利回りもないわけではないので面白い保険商品だと思う。

外貨建ての保険が得意な会社、競争力の高い外貨建ての生命保険商品を作る会社というのは、ほかにメットライフアリコやプルデンシャルなどがあるので、それらの会社の生命保険商品とも返戻率を比較するのは絶対に不可欠だ。

参考情報

(ニュースリリース)ソニー生命保険株式会社【新商品】『米ドル建保険』の発売 http://www.sonylife.co.jp/company/news/25/files/130418_us_dollar.pdf




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