プレミアカレンシー・プラス(通貨指定型個人年金保険)について考えてみた。

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最近増えているターゲットタイプの外貨建て個人年金保険

最近流行っている外貨建て保険の1つにターゲットタイプの外貨建て個人年金保険がある。

そのうちの一商品が、プレミアカレンシー・プラス(通貨指定型個人年金保険)だ。

プレミアカレンシー・プラス(通貨指定型個人年金保険)は、第一生命の子会社である第一フロンティア生命が引受保険会社の通貨選択型個人年金保険である。

この商品を扱う販売代理店(金融機関)は第一生命、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、横浜銀行、千葉銀行、広島銀行、伊予銀行、京都銀行、中国銀行、八十二銀行、百十四銀行、北海道銀行等の35金融機関である。

基本的な仕組みとメリット、デメリット等について少し考えてみよう。

基本的な仕組み(デイリーターゲットのタイプの場合)

まずは基本的な仕組みについて考えてみよう。

この保険の場合、契約時に通貨と運用期間、そして円換算の目標値を設定する。(目標値の設定を行わない場合はベーシックのタイプとなる)

具体的には、米ドル、ユーロ、豪ドルの3通貨のいずれかから1通貨を選び、契約時に円換算の目標値についても105%または、110%から200%の間(10%刻み)で設定を行い(目標値の設定を行わない場合はベーシックのタイプとなる)、運用期間についても3年、5年、6年、10年から選択する。

契約から1年経過後、目標となる円換算の額への到達の状況を毎日判定し(運用期間満了日2ヶ月前まで)、到達した場合は自動的に円建ての年金に移行してくれる。

もちろん、運用途中での目標値変更も可能だ。

なお、運用期間を長く設定したほうがより目標に到達する可能性というのは高まるが、必ずしも目標に到達するわけではない。(目標値に到達しない場合ももちろんある)

外貨建ての年金原資額や、万一死亡した場合の死亡給付金額は外貨建ての一時払保険料相当額は下回らない保証となっている。

プレミアカレンシー・プラス(デイリーターゲットのタイプの場合)のメリット 手軽に外貨での運用を行うことができる

この保険のメリットとはどのような点にあるのだろうか?

一番は、外貨を使って保険料を運用しているのにもかかわらず、円ベースでの目標額を設定でき、契約の1年経過後から毎日その判定をしてくれ、到達した場合は円換算の年金に移行してくれる点だろう。

ご存知の通り、円以外の外貨を使った運用の場合、運用利回りが高いのはよいものの、常に為替レートは変動するし、いつ利益確定して良いのかわからない、または、利益確定のために毎日為替レート等をチェックするのは面倒だということがある。

そんなときには非常に手軽で簡単な運用手段を提供してくれる年金保険であるとは思う。外貨で運用するときにありがちなデメリットを機能的に補ってくれる商品だろう。

プレミアカレンシー・プラス(デイリーターゲットのタイプの場合)のデメリット 費用がそれなりにかかる

では、その逆のデメリットというものはどのようなものがあるのだろうか?

この保険のデメリットとして一番に挙げられるのは費用がそれなりにかかることだろう。

(この種の保険商品の場合、どれも費用はかかるが…)自動で利益を確定させてくれる反面、そのために支払うコストというのも多くかかる。

この保険の場合、基本保険金額に対して、契約時の費用として2.5%(積立利率保証期間3年)から6%(積立率保証期間10年)の契約初期費用がかかる。

つまりこの手数料の分だけマイナスした状態で運用がスタートするということだ。単純に割るだけでは正確ではないものの、大まかに考えて1年あたり0.6%から0.8%の金利分が費用として奪われる計算となる。

外貨建て債券などと比較してしまうと、この部分の手数料というのは本来支払わない手数料であるので、無駄ということになるだろう。

少々運用利回りが悪くなっても気にしない、自分で運用することが面倒な人には最適

どんな人に向く保険商品か?というと、費用がかかってもいいので自分で運用をするのが面倒だと言うような人には向く商品だろう。

逆にこういった外貨運用には詳しく、費用が気になる人にとっては、避けるべき商品ではあるかもしれない。自分で運用した方が運用利回りは高くなる可能性が大きいからだ。

契約にあたって注意すべき途中解約リスク

契約にあたっては、途中解約リスクに細心の注意が必要だ。もちろん常に損をするわけではないが、損をする可能性というのは大きいからだ。

具体的には、解約時には市場価格調整というものが適用される。これは契約時よりも解約時に金利が上がっていた場合には、解約返戻金額にとってマイナスに働くようになっている。

現在の世界的な低金利水準からいくと金利は下がる方向よりも上がる方向に動きやすい。そのため、途中解約した場合、損を被る可能性というのも小さくないだろう。

また、契約時に多くの初期費用が取られているため、元本はそれだけでも割れた状態になっている点も認識しておきたい。つまりは、途中解約前提で契約する商品ではないということだ。

低金利で外貨を長期間固定してしまうリスク

この商品は、運用期間で10年間を選択することも可能であるが、上記で述べたように現在の低金利水準で外貨を長期間固定してしてしまうリスクについても考えておきたい。

今後、世界の景気が上向いてくると、金利についても上昇傾向になるだろう。そういったときのために低金利の運用商品に外貨資産を長期間固定しておくことは逆にデメリットになってしまうことも認識が必要だ。

そういった意味で、低金利で外貨を長期間固定してしまうリスクについても考えておきたい。

運用期間が3年や5年の短期のもの選ぶ

そういった意味で、この商品の契約の検討にあたっても、運用期間が3年や5年の短期のもの選ぶのが良いのかもしれない。

そのような運用を行う上では、この商品というのは十分人に勧められる商品であると思うし、商品の競争力自体も高い。比較的商品の仕組み自体も簡単で、運用に不慣れな人のニーズにもうまく合った商品であろう。