第一フロンティア生命はなぜ赤字続きでも経営を続けられるのか?

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設立から毎年200億円から300億円の赤字がつづく

第一フロンティア生命は、第一生命の子会社で2006年12月に設立された比較的新しい保険会社で、銀行や証券会社向けの年金保険等、貯蓄性保険商品を金融機関に提供している。

(参考記事:プレミアカレンシー・プラス(通貨指定型個人年金保険)について考えてみた。

保有契約高を急速に伸ばしているものの、業績を示す経常損益は2012年度でマイナス286億円と大きな赤字だ。

なぜこんなに大きな赤字であっても経営を続けるのだろうか?また経営を続けられるのだろうか?

利益を無視したシェア拡大のための販売戦略

赤字の主な原因は、販売する変額年金保険の最低保証に関わる責任準備金の積み立て等によるコストや、代理店に支払う手数料などのコストによるものだ。

一般的に、変額年金保険のような株式市場との連動性の高い商品については、相場が悪化すればするほど責任準備金の積み増しなどをする必要があり、保険会社にとっては扱いの難しい部類の商品だろう。

現在の状況であれば販売をすればするほど赤字幅が拡大する経営体質であるのかもしれない。

おそらく、規模やシェアを拡大させるために利益を軽視した商品設計、商品販売を行い利益が出ていないこともあるのかもしれない。競争によって他社を疲弊させてシェアを急速に奪う戦略というのもあるのだろう。

第一生命の子会社だからこそできる経営戦略

こういった経営戦略は、第一生命の子会社だからこそできる経営戦略で、1社単独であればあまり行えない経営戦略だ。通常であれば体力がもたなくなって破綻だ。

会社の儲けよりもシェアを取りに行くための戦略だろう。もちろん親会社の第一生命がついているので、このまま赤字が続いたとしてもこの保険会社が破綻するような事にはなりにくいし、商品を検討している人にとってもそれほど心配するレベルではないだろう。

しかし、このままの商品を提供し続けられるかというとその点には疑問も残る。第一フロンティア生命は、日本でも有数の金融機関向け(窓販向け)の生命保険会社となった今、今後の戦略に注目したいところだ。