生前贈与など相続税対策に役立つ10個のチェックリスト

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今後も負担が重くなる?生前贈与など現状で使える制度・仕組みをフルに活用して相続税対策(節税)する

平成25年度の税制改正など、相続税の税負担は年々重くなっている。現在の日本の財政状況等を考えるかぎり、今後も税負担が軽くなることはなかなか考えづらいだろう。

相続税負担が重い人にとっては、どのように相続税を軽くするか、または節税するかを悩んでいることだろう。しかし、相続税対策においては簡単な対策というのはそれほど多くなく、毎年行うことや現在の制度や仕組みを利用して行うことなど、毎年コツコツと行うものが主流である。

以下では、平成28年時点において使える相続税対策をチェックリストとして紹介したい。

以下の情報は、平成28年10月現在における情報もとに作成しています。また、制度が利用できる年等に制限があるものも多数記載しています。実際の制度等の活用にあたっては、国税庁などの信頼できる情報等を必ず自身にてご確認ください。また、場合によっては税理士・会計士等の専門家に相談されることを強くお勧めします。

相続税対策 10個のチェックリスト

1 贈与税の基礎控除額の範囲内(110万円)前後での毎年の贈与を行っているか?

これが最も重要なコツコツの対策であると言っても良いだろう、長い期間、多くの人数に行えば行うほど相続税の評価額の対象となる相続資産を減らすことができるだろう。

たとえ、基礎控除額の範囲(110万円)を超えたとしても、贈与税の税率が比較的抑えられる範囲内(例えば200万円や300万円)であれば、高い相続税の税率が適用されるような人であれば贈与税を払った方が税負担が抑えられ、多くの額を生前贈与できるというメリットが発揮されるだろう。

(参考記事:贈与の際に気をつけることを考えてみた
(参考記事:生命保険と生前贈与(非課税枠)を活用した相続税対策について考える

(参考リンク(国税庁):No.4155 相続税の税率
(参考リンク(国税庁):No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

2 贈与税の特例税率(特例贈与財産)を活用した生前贈与が行えているか?

チェックリスト1の対策に加えて、確認しておきたいのがこの「贈与税の特例税率(特例贈与財産)を活用した生前贈与」についてだ。

この「贈与税の特例税率(特例贈与財産)を活用した生前贈与」は、平成 27 年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されるもので、暦年課税の場合において、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与を受けた年の1月1日において 20 歳以上の方に限る)については、優遇された「特例税率」を適用して税額を計算するというものだ。(この特例税率の適用がある財産のことを「特例贈与財産」といい、また特例税率の適用がない財産(「一般税率」を適用する財産)のことを「一般贈与財産」という。)

この贈与税の特例税率を活用することで一般の贈与税よりも、同じ課税価格ならば税負担を抑えながら、同じ贈与税の税率であればより多くの額を、生前贈与することができるというものだ。この特例の対象者には贈与者の「孫」(ただし20歳以上)も含まれており興味深い。相続する世代を1つ飛ばす事も可能だろう。

(参考リンク(国税庁):平成27年1月から贈与税の税率等が変わります!

3 小規模宅地等の特例を相続人が受けられることは確認済みか?

「小規模宅地等の特例」とは、個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業で使用されていた宅地等、または被相続人等の居住で使用されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額(50%~80%)するというものだ。

この「小規模宅地等の特例」の適用にあたっては細かな要件を満たす事が必要だ。自身の資産がこの「小規模宅地等の特例」を満たすかどうかを確認しておき、満たさない場合であっても改善を行うことで満たす事ができる場合は、事前に改善を行う必要があるだろう。

(参考リンク(国税庁):No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

4 「配偶者の税額軽減」の活用を確認しているか?

「配偶者の税額の軽減」とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額(1億6000万円または、配偶者の法定相続分相当額)までは配偶者に相続税はかからないという制度だ。相続税の一時相続においては、まずは「配偶者の税額軽減」を最大限活用することが良いだろう。

もちろん一時相続の負担が節税できることにはつながるが、問題は二次相続、配偶者が相続で取得した資産をその相続人が相続する場合においてだろう。その二次相続段階で多額の相続税が発生することにもなりかねない。そういた意味で親から子への相続税負担を軽減する意味ではあまり効果が薄いと感じる人もいるだろう。

しかし、やり方によっては相続税負担を大きく抑え、節税することも可能だ。その方法とは、配偶者が「配偶者の税額軽減」を利用して財産を取得したあとで、配偶者が相続人に生前贈与を引き続き行っていくのだ。

夫婦のどちらかが亡くなって、その後も「贈与税の基礎控除額」を意識しながら、その配偶者が生前贈与を行い続けていくとかなりの資産を減らすことにつながるだろう。毎年の贈与できる期間を先延ばしにできるという点においては、この「配偶者の税額軽減」は役に立つ制度だろう。

(参考リンク(国税庁):No.4158 配偶者の税額の軽減

5 死亡保険金の非課税限度額の確認・活用を行っているか?

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となるが、この死亡保険金には非課税限度額があり、その非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になる。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

そのため、最低限この非課税限度額程度は生命保険金が相続時に支払われるように準備しておくとよいだろう。

※相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はない。
※法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいう。

(参考リンク(国税庁):No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

6 「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度の確認・活用を行っているか?

この「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」とは、平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の受贈者が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から以下の3つの場合には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となる制度だ。

  • 信託受益権を付与された場合
  • 書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
  • 書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合

制度は若干複雑で、手続きは面倒なところもあるが最高1500万円までの額が非課税というのはとても大きいだろう。特に孫が多いような人にとっては最大限活用することによって相続資産を大きく減らせる場合もあるはずだ。

(参考リンク(国税庁):No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
(参考リンク(国税庁):祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

7 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」制度の確認・活用を行っているか?

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」制度とは、平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又はその増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となる制度だ。

こちらの制度も制限が多く、確認などは大変であるが、制度を早期に利用すると最大で3000万円の非課税限度額を活用することができる。なお、年次によって非課税限度額は低減していく制度となっているため、制度活用の心当たりがあるようなある人は至急確認する必要があるだろう。

(参考リンク(国税庁):No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

8 「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度の確認・活用を行っているか?

「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度とは、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、個人が、結婚・子育て資金に充てるため、

  1. その直系尊属と信託会社との間の結婚・子育て資金管理契約に基づき信託の受益権を取得した場合
  2. その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を結婚・子育て資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預金若しくは貯金として預入をした場合
  3. 結婚・子育て資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭等で証券会社の営業所等において有価証券を購入した場合

上記のような場合には、
その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち1000万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入されないというものだ。この制度も、ほかの直系尊属にかかわる制度と同様、制度が複雑で確認が必要なものの、直系尊属が結婚する場合や子育て資金を必要とする場合は確認しておくべきだろう。

(参考リンク(国税庁):No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

9 「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」特例制度の確認・活用を行っているか?

「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」特例とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例だ。

上記で触れたように、相続時に配偶者は「配偶者の税額の軽減」の適用を受けることができるが、事前に対象となる不動産を節税しながら贈与しておくことで、相続財産を減らし、相続時には「配偶者の税額の軽減」の適用を受けることができない財産の割合を減らすことができるだろう。

(参考リンク(国税庁):No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

10 「贈与税がかからない贈与」の確認・活用を行っているか?

贈与税というものは、多くの贈与行為に対して課税されるが、一部贈与税が課税されない贈与行為というのもある。その一例が、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために贈与された財産で、通常必要と認められるものを贈与した場合だ。

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいう。日々の生活費等を助けてあげながら少しずつ相続財産を減らすことができる。

※贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られる。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかる点に注意が必要となる。

(参考リンク(国税庁):No.4405 贈与税がかからない場合
(参考リンク(国税庁):扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A




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