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決算対策としては有効な法人保険(事業保険)であるが… 注意も必要
会社経営者は、決算の結果利益が通常よりも上振れするような場合に税理士や金融機関などから決算対策としても事業保険の活用を勧められるようなことがあるだろう。
確かに事業保険の活用は、決算対策にとどまらず、会社経営とってもメリットが大きいものだ。
しかし、もちろんデメリットも存在している。
決算対策として(またはそれ以外においても)事業保険を契約する際のメリットとデメリットについてここでは考えてみよう。
法人保険(事業保険)を活用することのメリット
まず、法人保険(事業保険)を活用することのメリットから考えてみよう。
法人保険(事業保険)を契約することのメリットについては以下のようなものがあるだろう。
- 益金を圧縮することができ、支払う法人税の額を抑えることができる。(全額もしくは半額損金タイプの保険の場合)
- 益金の圧縮度合い(例えば益金が800万円以上か?以下か?など)によっては、税率も異なってくるため、節税効果がより高くなる場合もある。
- 簿外資産として、銀行などの融資を受けているところから資産を見えにくくすることができる。
- 経営者に万一があった際には、自社株の買い取り資金や死亡退職金などにあてることができる。
- 退職時期をふまえて保険の設計内容を工夫することで経営者の勇退退職金を準備できる。(保障を解約して解約返戻金を活用する)
主なメリットをあげると以上のようなもので他にも大小のメリットがあるだろう。
法人保険(事業保険)を活用することのデメリット
次に、法人保険(事業保険)を活用することのデメリットについても触れておこう。
法人保険(事業保険)を活用することのデメリットは以下のようなものだ。
- 途中解約しても損しない年度までは毎年保険料を支払い続けなければならない。保険料分としてのお金は固定されてしまうため、利益が少ない年などは保険料の支払いが大変になる場合がある。
- 損金計上できる保険であったとしても、その保険契約が解約された時点で、何らかの資金用途などの損金がなければ益金として課税されてしまう。
大きなデメリットとしては上記の2点だろう。
保険料という毎年の固定費が必要となってしまうことと、解約時に何かの損金と解約返戻金をぶつけて相殺しなければまるまる益金として課税されてしまう点だ。
こういったデメリットに対する策としては、保険料を毎年支払っても無理のない範囲に抑えておくことと、解約時期については解約返戻金の使途をあらかじめよく考えておくことだろう。