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銀行などの金融機関でも営業が活発に行われる法人保険
銀行や証券会社などの金融機関での保険販売は今では当たり前となっているが、そのような中で最近ときどき耳にするのが、それら金融機関での法人保険の提案などについてだ。
昔から、特に証券会社などではこれら法人保険の提案はそれなりに活発であったものの、現在では銀行などであっても提案が活発になりつつあるようだ。
実際の提案にあたっては、その銀行の行員だけでなく、保険会社の担当者と一緒に提案にまわっているというようなことが多いとも聞く。
証券会社とは異なり、常日頃の取り引きで顧客の属性を熟知していて、親密にしている銀行が保険を提案してきた場合、その会社の経営者は提案を無下に断ることも難しいだろう。
銀行や証券会社、保険会社の担当者から法人保険の提案を受けた場合、どのような点に注意すれば良いのだろうか?法人保険を検討・比較・契約する上でのポイントについて少し考えてみよう。
法人保険とはどのような保険なのか?どのような保険会社が扱っているのか?
法人保険とは、そもそもどのような保険なのだろうか?
まずは、簡単に法人保険の概略についてふれておこう。
法人保険の役割やメリットとは?
法人保険とは、名前のとおり法人が契約する生命保険のことである。
しかし、保険を契約する目的は、個人で契約する生命保険とは大きく異なっている。
法人保険の役割(契約する目的)は以下のようなものがあるだろう。
- 経営者に万一があったときの高額な保障
- 税法上の優遇措置(損金として保険料を計上できる等)を利用しての財務強化
- 相続対策として
- 事業承継対策として
- 役員・従業員の退職金準備として
など
主な法人保険の種類
法人保険の種類には例として以下のようなものがあるだろう。
多くに共通しているのは、保険料が損金扱い(全額・一部)になる点や解約返戻金が多くたまる商品が多い点だろう。
- 逓増定期保険
- 長期定期保険
- がん保険
- 医療保険
など
取り扱う生命保険会社の例
法人保険を扱う生命保険会社の例として以下のような保険会社があるだろう。
もちろん、下記以外の会社の多くで法人保険を扱っているが、金融機関扱いでよく名前があがるような保険会社を例としては以下のような保険会社があるだろう。
- 日本生命
- 明治安田生命
- 東京海上日動あんしん生命
- マスミューチュアル生命
- 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
など
法人保険を検討・比較・契約する上でのポイント
次に、法人保険を検討・比較・契約する上でのポイントについて考えてみたい。
ポイント1 なぜその法人保険を提案するのか?、法人保険を契約することのメリット・デメリット、解約する場合の解約返戻金の使途、関わる税制について十分に説明させ、十分に納得してから契約すること
1つめのポイントとしては、なぜその法人保険を提案するのか?、法人保険を契約することのメリット・デメリット、解約する場合の解約返戻金の使途、関わる税制について十分に説明させ、十分に納得してから契約することだ。
法人保険は上でも書いたとおり、一般の個人の生命保険とは商品の性質や契約の目的などが大きく異なるものだ。
多くの場合、目的や契約内容、税務取り扱いについて複雑にもなりやすい。
なお、年間の保険料についても、解約返戻金があるものについては、百万円単位というのが当たり前で、被保険者の数などによっては年間の保険料総額が何千万単位という場合だって当たり前にあるだろう。
加えて、保険契約は10年や20年以上や終身など長期に及ぶことが多い。
法人で毎年潤沢に利益が出れば良いが、そんなことはやはり難しいことであるため、毎年の保険料支払いはよくよく考えておかなければ後に大変なことにもなりかねない。
そういった諸々のことを考えて、本当にその法人保険を契約する価値があるかしっかりと考える必要があるだろう。
そういったことから、提案の検討にあたっては、なぜその法人保険を提案するのか?、法人保険を契約することのメリット・デメリット、解約する場合の解約返戻金の使途、関わる税制について十分に説明させ、十分に納得してから契約することが重要なのだ。
提案は、生命保険会社や代理店の担当者、もしくは銀行や証券会社の職員などがほとんどで、場合によっては生保担当者が金融機関の営業担当者に同行して提案を行ってくるだろう。
担当者は、単純な節税対策でセールスしているのか?それとも役職員の退職金対策なのか?事業承継をふまえての提案なのか?それとも相続の対策なのか?どこまでしっかり会社のことを考えているのか確認する必要がある。
ポイント2 法人保険を解約する場合の契約返戻金について使途をあらかじめしっかり考えておくこと
上で書いたことと重なる部分も大きいが、2つめのポイントととしては、法人保険を解約する場合の契約返戻金について使途をあらかじめしっかり考えておくことということがあるだろう。
多額の保険金を損金計上できる法人保険の場合、節税の効果を発揮するためには、ある一定年数後の解約が前提となっているだろう。
しかし、解約して解約返戻金を法人で受け取っても、そのままでは益金(資産計上)となってしまうだけで、明確な使途(損金)がなければ、節税の効果はなくなってしまう。
これではこれまでの努力が水の泡だ。
解約返戻金の使途について担当者に提案させるのはもちろんのこと、提案を受ける側も真剣に考えておく必要があるだろう。
役員退職金や事業承継に関連した自社株取得資金など、事前に使途を考えておく必要があるし、その実行タイミングと解約返戻金のピークと合わせる難しい検討も必要となる。
ポイント3 契約にあたっては長期で面倒を見てもらえるような担当者から契約することが望ましい
最後のポイントは、契約にあたっては長期で面倒を見てもらえるような担当者から契約することが望ましいということだ。
一般的に法人保険の契約には、高額な手数料が関わっている。
もちろん、こういった保険の契約を獲得することは、営業担当者にとっても至難の業であり、手数料が高額になっても当然のこととも言えなくはない。

しかし、法人保険を契約する側にとっても、営業担当者を慎重に選ぶことはとても重要なことだ。
なぜなら、上でも書いたが、法人保険は、性質上保険の仕組みや役割、税制なども単純なものではない場合も多いし、契約の期間も長期になる場合がほとんどだからだ。
例えば、法人保険に関わる税制については、税制なども国税と追いかけっこな面もあるため、税制もたびたび変わる。
こういった税制変更についてもそうだし、その他の面でも継続して情報をくれる、継続して面倒を見てくれるような営業担当者と契約を結ぶべきだ。
そのような意味で、銀行や証券会社の営業担当者は、数年で転勤してしまってその後のフォローが期待できないため、地場に密着した保険会社や代理店の優秀な担当者を選んだ方が良いのかもしれないとも思う。
本当に知識的に優れ、真面目で、長く付き合ってくれる担当者がいればそれが最も理想だろう。
節税だけで飛びつくと面倒になる
上で書いたとおり、法人保険の契約の手間、そして、契約後の手間、解約後の手間など、法人保険を契約すると言うことは、多くの面倒なことが増えるということでもあるだろう。
そういったことから、節税というキーワードだけで法人保険を契約すれば後々面倒なことになる可能性もあるだろう。
しかし、そういった面倒をしっかり考えて実行していけば、法人保険の活用は、会社の万一に強い会社作りをする上での強い助けになるはずだ。