告知義務について考えてみた(ポイント、告知義務を怠ったときのことなど)


保険の契約時によく登場するワードの1つに「告知」がある。

言葉を聞いただけでは、よくわからないかもしれないが、万が一「告知義務」に違反した場合、保険金も支払われないなどの問題が発生する程の重要なものだ。

「告知(義務)」とは、どのようなものだろうか?少し考えてみた。

 

まず「告知」とは、保険の契約にあたって、被保険者が自ら進んで保険の引き受けの判断に必要な健康状態や、職業などの事実を保険会社へ伝える(報告する)ことで、その義務を「告知義務」という。

要は、「これから保険に加入しようとしている人の健康状態を保険会社はもちろん知らないため、保険会社が聞くことに対してしっかりと噓偽りなく申告してください。」というようなものだ。

これは、保険法にも定められていることだ。

この「告知義務」が定められている理由としては、保険会社と契約者の間で、または保険契約者同士の公平性を保つため、保険を成り立たせる上で不可欠なものだ。

 

例えば、保険の契約を考えている同じ性別、年齢の2人の被保険者がいるとしよう。

ひとりは、病歴もなく健康な人で、もうひとりは、保険契約に影響を及ぼすような病歴や持病を持っていたとする。

年齢や性別が一緒なので同じ保険料でよいかというと、やはりそうではない。
そのまま、同じ保険料で保険金支払のリスクの高い人が加入した場合、後々保険金の支払いが、保険会社の想定よりも早く発生したり、発生の確率が上がってしまうということが起こる。
それは、保険会社の損失につながると同時に、他の健全な契約者が最終的には、損を被ることになるだろう。

 

このように、契約者間の不公平を無くすために、保険会社は被保険者に告知を求め、リスクが高いと判断した人には、保険料を割り増ししたり、保険金を削減したりする特別条件付きの契約にしたり、場合によっては契約の引き受け自体を断る場合もあるだろう。(謝絶)

ところで、保険の引き受けの判断に必要な健康状態や、職業などの重要な事実は、どのように告知するのだろうか?

全ての情報を保険会社に告知する必要があるか?というとそうではない。

 

多くの場合、保険会社が必要と考えていることで、過去5年以内の、告知書等の書面に記載されている(問われている)項目のみ「はい」、「いいえ」の質問形式などで答えればよい。

 

そもそも被保険者は病気や保険にとっては素人なのだから、そういった方法であるのは当然だろう。

ということで告知義務とは、言い換えると「告知書」にありのままの事実を答える義務といえるだろう。

さらに付け加えると、告知書で問われていないことに対しては告知する必要はないし、保険会社が告知書に無い項目を告知義務違反と主張して保険金の支払いを拒むことはできないということだ。

重要なことなのでくり返すと、保険金の請求内容と告知義務違反の内容に因果関係が無い場合は、もちろん保険金は支払われるだろう。

なので、因果関係のない保険金なのに、告知義務違反を理由に、保険会社が保険金の支払いを拒むような場合は要注意だ。

 

もちろん故意により、重要な事実を隠すこと(告知義務違反)はもちろんやめたほうがよい。

多くの場合、保険金の支払いの事由が発生した時点で発覚することが多いからだ。

 

告知義務違反は発覚した時点で、契約解除となるし、保険金の支払い事由が発生していたとしても少しでも関係する傷病であれば、保険金は支払われない。

しかし、告知義務違反があったとしても契約が解除されない場合もあるので書いておきたい。
それは、保険法で定められている以下のような場合だ。

・告知義務違反について、契約時に保険会社が知っていたときや、保険会社の過失により知らなかった場合。
・保険会社が告知義務違反を知ってから1ヶ月以内に保険契約を解除(解除権の行使)をしなかった場合。
・責任開始期から2年を越えた時点で支払事由が発生した場合。
・保険会社の営業職員が告知妨害を行ったり、告知しないことや事実と異なる告知を勧めた(不実告知教唆)場合

また、その他、告知義務違反が認められないものとして、

・責任開始から5年以上前の事項に関する告知義務違反の場合
(告知書は、過去5年間における事実を告知させるものであるため)
・正しい告知事実を知らなかった原因が保険会社にある場合。
・被保険者が告知義務違反をしたことに故意や重大な過失がない場合。

とされている。

 

告知で最も重要なのは、告知義務違反を自身は行っていないのに保険会社に告知義務違反を理由に保険金の支払いを拒まれるケースである。
もしも、保険金の支払い段階になって、告知義務違反を理由に保険金の支払いを拒まれた場合、これらに該当しそうな場合は、必ず専門家に相談してみるべきであろう。