持病や既往症があっても入れる「引受基準緩和型医療保険」はおすすめな医療保険か?

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保険会社は医療保険で健康な人しか契約させない?

一般的に、医療保険など生命保険の多くは、健康な人しか加入することができないような仕組みになっている。

保険会社側にとって都合が良いように思えるが、既往症や持病の状況を隠しながらすぐに(または近い将来)保険金を受け取ろうとするようなモラルリスクなどを排除し、健康な加入者の利益を守るためには重要な仕組みでもある。

しかし、最近、「持病(病気)のある人でも一定の条件を満たす人なら誰でも入れます」のような保険をよく見たり聞いたりするようになった。

持病や既往症のある人でも入れる医療保険

これらの医療保険のことを一般的に「引受基準緩和型医療保険(ひきうけきじゅんかんわがたいりょうほけん)」と呼んでいる。

比較ランキングなどに登場するような代表的な商品は、おおまかに売れている商品(2012年11月現在)では以下のようなものがある。

  • アフラック「もっとやさしいEVER」
  • メットライフアリコ「ずっとあなたと」
  • オリックス生命「キュアサポート」
  • 東京海上日動あんしん生命「メディカルKITラブ」
  • アクサ生命「OKメディカル」

引受基準緩和型医療保険はおすすめな医療保険なのか?

この、「引受基準緩和型医療保険」であるが、契約した方がよいか?ということとなると、少し微妙だと答える。逆にあまりおすすめはできないかもしれないだろう。

その「微妙だ」と言う意味は、「加入前には、よく考えてみた方がよい。」ということがある。

「誰でも入れる」のメリットの裏にある引受基準緩和型医療保険の小さくないデメリット

というのも一般的に引受基準緩和型の医療保険には、メリットがあるもののデメリットも多くないからだ。メリット・デメリットの両方を以下に整理してみよう。

引受基準緩和型医療保険のメリット

・持病ある人などでも一定の基準を満たせば、告知のみで簡単に誰でも医療保険に入れる。

これ1つだ。持病があって、なおかつ貯金が少ないようなときに、または、貯金が苦手な人にとって、このような医療保険は何よりも安心につながるという面が一番のメリットだろう。

しかし、反面、デメリットとしては…

引受基準緩和型医療保険のデメリット

・通常の医療保険と比べて特約が少ない場合が多い。
・給付金の日額限度額も通常の医療保険と比べて低め。
・保険に加入の初年度は、保険金や給付金が1/2に削減される。
・通常の医療保険よりも保険料は割増で設定されている。
・持病は、保険金や給付金の対象であるが、保険に加入する前から、入院を必要と言われていた場合などは対象とはならない。

これをみる限り、デメリットが数多く、持病がない人にとっては、加入する理由は一切考えられないだろう。

「引受基準緩和型医療保険」とは持病がある人のみ入るべき医療保険なのだ。

一時金付きの引受基準緩和型医療保険について

実際のところ、こういった医療保険の加入者の多くは、高齢者が大半を占めると予想される。

こういった商品の広告やCMをみると、若い世代ではなく高齢者をターゲットとしていることもわかるだろう。

また、一時金がもらえるタイプの保険もあるが、これはもらえるものではない。自分が保険料をこつこつ払った分から支払われるいわば貯金のようなものだ。

しかし、貯金とは大きく異なる。貯金との違いは、早く病気になると支払いよりも受け取りが多くなるため得するし、元気なままだと受け取りよりも支払いが多くなることで損をする。

(ただし上記で記載したように、「保険に加入の初年度は、保険金や給付金が1/2に削減される。」のような注意点もある)

今後ますます競争が激化する引受基準緩和型医療保険

全体的にデメリットが多い引受基準緩和型医療保険であるが、最近は新商品が相次いで発売されており、競争は激化している。

なぜ、競争が激しくなるかというと、契約者にとって条件があまりよくない保険というのは、保険会社にとっては良い「儲かる」商品だからだ。各社も参入したいのだ。

しかし、競争が激化してくると、保険料は下がる方向に動くだろうし、デメリットとしてあげた部分を改良した商品も登場するだろう。もちろん、そうなれば保険会社の利益も減ってくるだろう。

自身の貯金などとバランスを考え契約を考えるべき

デメリットの方が多いが、貯金などが少なく、持病もあるので、病気への不安を安心に変えたいと考える場合は、加入を考えてもよい。

しかし、支払った保険料分を自身の病気で受け取れる可能性はそう高くないだろうし、これから自身の貯金で対応できないかなど、十分検討した上で加入すべきであろうと思う。