保険はそもそも不要!?「10代・20代の新卒者・新入社員」「30代40代の独身女性(独身男性含む)」「50代・60代のおひとりさま」 ケース別に考える生命保険(医療保険・死亡保険)の選び方

この記事の内容


保険はすべての大人に必要なものではない?
場合によっては不要なケースも。

大人になると生命保険に入るのは当然の事。

そんなイメージが多くの人には漠然とあると思うが、実際のところそんな事はない。

生命保険に関しても、また損害保険に関しても、できる限りお金をムダにしなように、また、多くのお金を貯金にまわせるように、最低限の保険にしか加入しない(契約しない)事がとても重要な事だ。

「自分の貯金でまかなう事が難しいリスクに対してのみ保険に入る」という原則

そのためには、自分の貯金でまかなう事が難しいリスクに対してのみ保険に入るということになる。

例えば、一家の大黒柱には数千万円単位の多額の死亡保障が必要となるため死亡保険に入るのは仕方のない(必要な)事だし、車で他人を死亡させたときには億円単位にも損害賠償がなる可能性があるので自動車保険を契約するのも必要なことだ。

しかし、貯金が十分にあるのに、支払われるかどうかも分からない、また、支払われても少ししか受け取れない掛け捨ての医療保険などにお金を使うのはムダなことになってしまう。

生命保険が不要?保険の契約を迷うケースの例

さて、以下のようなケースに該当する人にとっても同様に、保険に加入すること自体がムダではないかと迷う人も多いだろう。

保険の契約を迷うケースの例

  • 10代・20代の新卒者・新入社員
  • 30代・40代の独身女性(独身男性含む)
  • 50代・60代のおひとりさま

今回の記事では、上記のようなケースに該当する人が本当に保険が必要なのか?または、どのような保険が必要なのか?について考えてみたい。

ケース1 社会に出たばかりの「10代・20代の新卒者・新入社員」に生命保険は必要か?

高校や大学を卒業して社会に出たとき、少し気になるのが生命保険のことであろう。

親に守ってもらっていた身から、自分のことは自分で守らないといけない身になったときに、1つの責任として生命保険の加入を考えることだろう。

そのようなことを考える人というのは、相当に少数だと思うが、それに気づいた人はよく考えている人だろうと逆に私は思う。

死亡ではなく万が一病気やケガで働けなくなった場合に備える

もちろん新卒者や新入社員の多くは、独身で、誰かを守らなければならないということもないだろう。したがって、死亡に備える死亡保険ではなく、医療保険程度で十分だろう。医療保険についても高額療養費制度などもあるため、多くの貯蓄がある場合などはそれも不要だ。お給料の半年分から1年分程度の十分な貯蓄ができるまでの間でいいのだが、最低その期間までは自分が病気やケガになった場合に備えて医療保険に加入しておくべきであろう。

都道府県民共済やコープ共済、会社のグループ保険などで保険をまかなう

このようなケースにおいては、ぴったりの保障といえば、都道府県民共済やコープ共済などの共済だろう。

多くの共済ではそれほど多くない死亡保障額の死亡保険と入院保険がセットになった商品を安価に用意している。

親や兄弟に迷惑をかけないように葬式費用分や、借金があればそれの返済分ぐらいの保障で十分なため、必要な保障額では1000万円もあれば十分過ぎるぐらいで500万円程度でも良いだろう。

そういったことから、民間の生命保険会社で保険に入る必要はなく、入るとすれば、都道府県民共済やコープ共済、場合によっては、会社のグループ保険を小額かけるなどの保障で十分だろう。

生命保険よりも貯蓄を重視すべき

上でも書いたとおり、新卒者、新入社員は医療保険だけで死亡保険はほとんど必要がないといってもいい。

また、がん保険も加入できれば良いが、無理してこの時期に加入する必要はないだろう。

とにかく、貯蓄を行うために余分なものにはお金を払わない姿勢が最も重要だ。

あえて医療保険に加入したい場合は?

共済などではなく、あえて医療保険に加入しようと考える場合は、インターネットなどで販売されている、掛け金が割安な医療保険を中心に検討するのが良いだろう。

また、医療保険には、定期タイプの医療保険と終身タイプの医療保険があるが、このタイミングでは定期タイプの医療保険でも十分だろう。

ケース2「30代40代の独身女性(独身男性含む)」に生命保険は必要か?

社会に出て10年から20年程度を過ごし、独身生活を長年満喫している独身女性(男性含む)にとって生命保険というのは1つの悩みだろうと思う。

それは「自分には生命保険は必要なのか?」ということである。結論からいうと、まず死亡保険は少ししか必要ないだろうということだ。

これについては、上の「10代・20代の新卒者・新入社員」のケースと同じ理由だ。

貯蓄の有無で異なる医療保険の必要性

30代40代の独身女性、または独身男性にとって大きく分かれてくるのがここ(医療保険の必要性(貯蓄の有無))だろう。

貯蓄が得意な人は、社会人人生の中で相当な額が貯まっているだろうし、逆に貯蓄が苦手な人は30代・40代になってもほとんどお金が貯まっていないという場合だってあるだろう。

給料の半年分から1年分程度の貯蓄がある場合の医療保険の必要性

次に、医療保険であるが、預貯金が給料の半年分から1年分程度ある人はおおよそなくても大丈夫だ。

または上記のように死亡保障と入院保障を兼ねた共済などで準備しておく程度で問題がない。

そもそも働き盛りの若い世代なんて確率論で考えれば、入院をする可能性なんてそれなりに低いし、特に最近は入院したとしても、すぐに病院を退院させられ、長期入院というのは相当にまれだからだ。

知っておきたい高額療養費制度

そして、医療費がかかったとしても、高額療養費制度があるため、医療費の支払い前に健康保険組合等に事前に手続きをしておけば、高額の医療費を負担する必要もない。

だから、給料の半年分から1年分程度の預貯金がある人は原則不要なのだ。

それなりにリスクが高く費用もかかるがんへの備え

医療保険でも、がん保険については、独身であっても若いうちに入っておいた方がよいのかもしれないと私は思う。

入院にかかる費用でもがんについては多くの費用がかかるのでそれなりにリスクだからだ。貯蓄が得意な独身者にとっては、1に貯金、2にがん保険、そんな感じで考えておけばよいだろう。

貯蓄がほとんどない、または全くない場合の医療保険の必要性

どちらかというと問題なのは、30代・40代になっても貯蓄がほとんどない人の場合だ。30代・40代は次の代(50代・60代)に移って行くにしたがって病気リスクが少しずつ高まってくるため、医療保険等の準備が必要だろう。

もちろん上で触れたように共済でもよいものの、今後も貯蓄が苦手でできないと考えるならば、終身医療保険などもまじめに検討したいところだ。

貯蓄が苦手なひとにはおすすめできる「低解約返戻金型の終身保険」

また、貯金が苦手な人に限っては「低解約返戻金型の終身保険」もすすめることができる。

「低解約返戻金型の終身保険」とは、終身保険の1つの種類で、終身保険は貯蓄性のある死亡保険だ。

この保険を解約すれば解約返戻金が受け取れるし、解約しなければ、一生涯の死亡保障が続く。(ある程度契約から年数が経っていない場合は解約返戻金がない場合もある。)

「低解約返戻金型の終身保険」のリスク

この「低解約返戻金型の終身保険」で注意が必要であるのは、途中解約時のリスクだ。

「低解約返戻金型」と名前のついているとおり、保険料を支払っている期間中などに解約した場合、通常の終身保険の解約返戻金と比べて70%程度しか帰ってこない。

100%と言っても支払った保険料の100%が帰ってくる訳ではなく、その額のさらに70%程度になってしまうということだ。

なので、基本は、10年~30年以上の範囲で保険料を支払うと思うが、その期間は途中解約すると損をするだろう。

しかし、貯蓄が苦手な人にとってはこれぐらいの制約がなければ貯蓄は不可能だろう。

長い保険料の払込期間が終われば払い込んだ保険料分程度を、保険を解約して受け取ることも可能

その代わり、その長い払込期間が終われば返戻率が100%を超える保険商品も多い。長い保険料の払込期間が終われば払い込んだ保険料分程度を、保険を解約して受け取ることも可能だ。

保険料を支払う期間が終わった後は、ずっとそのままにしておいて死亡に備えるか、解約して自分のために使うか、自身で選べるようになる。

もし、その時点で家族ができれば家族のために遺すのもよいし、その時点で独身であれば、自分の老後の資金として解約して使うのも悪くないだろう。

運用利回りは期待できない

ただし、運用利回りという面では、現在の運用環境では、たいした利回りにはならない。

そのため、ファイナンシャルプランナーなどは、「運用面から見て、魅力が薄い。」と評する人もいる。

しかし、万が一のお葬式費用位を準備しておきたいというのであれば、保険を活用して準備するのが、貯蓄も兼ねられて一石二鳥だ。機能的には面白い。

誰かに保険金として遺す機能としても保険は有効

預貯金は、その持ち主が死んだ場合、銀行によって口座が閉鎖されてしまう。そのためそのお金を使ってお葬式をしようにもできないという問題がある。

保険金の場合は、しかるべき保険金請求書類をすぐに提出すれば、数日で保険金が受け取れ、それをお葬式費用にあてることができる。

そういった面では、保険も有効だ。将来に向けた貯蓄と、万が一の保障を上手に準備したいと考える人にとってはそのような低解約返戻金型の終身保険というのもおすすめだろう。

ケース3 さまざまな「50代・60代のおひとりさま」に生命保険は必要か?

年々単身者が増えているというようなニュースを聞くことが増えてきた。晩婚化や、女性の社会進出、個々の生き方の多様化など、必ずしも結婚に縛られない生き方を選ぶ人が増えたのも要因だろう。

加えて、既婚者であっても配偶者との離婚や死別などによりいつかは必ず「おひとりさま」になってしまう。

そういった点からは、結婚の経験の有無にかかわらず人はかならずいつか「おひとりさま」になってしまうのだ。

「おひとりさま」にぴったりな保険とはどんな保険だろうか?

基本「おひとりさま」の単身者は高額な死亡保障は必要ない。

必要なのは、最低限、親・兄弟・子どもなどの身内に迷惑をかけないように葬儀費用・身の回り品整理費用として少しの死亡保険金を準備しておくのと、引き続き貯金に不安がある場合は医療保険やがん保険にも入っておくのがよいだろう。

貯金がある場合は、基本、医療保険自体も不要で、あえて言えば、可能であれががん保険だけは、入っておいてもよいだろう。理由は上記の2つのケースとほぼ同様だ。

相続人がいる「おひとりさま」の場合は相続税対策や争族対策としての生命保険活用が有効

相続人がいる「おひとりさま」の場合は相続税対策や争族対策としての生命保険活用が有効になってくるだろう。

特に、相続に相続税や争族の問題が発生する場合は、相続税対策や争族対策としての生命保険や生前贈与の対策が重要となってくる。詳しくは下記の記事などを参考にしてみるとよいだろう。

医師・会社経営者・土地持ち・二世帯住宅オーナー ケース別に考える相続対策 (相続税対策・争族対策) 

保険貧乏にならないために

ただでさえ、新入社員や独身者、おひとりさまは、基本一人で生活を行っているため、いろいろなコストもかかりやすく、給料も安いような場合にはお金もたまりにくい。

貯蓄を積み上げていくためには、無駄なものにお金を使わないことが重要だ。これは保険に使うお金であっても同様だ。