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保険会社各社が力を入れる学資保険
かんぽ生命の新しい学資保険「はじめのかんぽ」の登場など、保険会社各社が学資保険に力を入れている。
ここ最近、1年程度で発売が開始となった学資保険として、日本生命の「ニッセイ学資保険」(2013年4月から)、ソニー生命の「学資保険(無配当)」(2014年1月から)、明治安田生命の「明治安田の学資保険」(2013年1月から)など大手各社が、返戻率を高めた新しい商品を投入している。
商品数が増え、どんな商品を選べば良いか迷っている人も多いだろう。そこで今回は、学資保険を選ぶ際のポイントについて少し考えてみたい。
そもそも学資保険は必要か?
まずは本題に入る前に、そもそも学資保険自体が必要なのかということについても考えておきたい。
答えから言うと、子どもが学校に進学できるだけの蓄え(貯金など)がある人は原則不要だ。
学資保険を契約する必要があるのは、これから子どもの学資を貯めていきたい人だ。詳しくは以下のような人だろう。
- 現在子どもの学資に使える貯金が貯まっておらず、これからも自分で貯金する自信がない人
- 自分で貯金する自信はあるが、自身が死んでしまった場合などに子どもの学資の不安を感じている人(親に万一があったときの保障があると良い人)
2つめの箇条書きについては、貯金では対応できない点であり、このような人にとっては学資保険の活用がおすすめだ。(「保険料払込免除」等に関しては後述したい。)
それでは、どのようにして人気の学資保険から自分にあったものを比較・選択するすればよいのだろうか?考えてみよう。
何よりもまず返戻率
各社の規模やブランドイメージで選んでしまう人もいるだろうが、何よりも1番気にすべきは返戻率だ。
学資保険を扱っている生命保険会社の多くがメジャーな会社であり、危ない会社というのはそれほど多くないかもしれない。(そもそもどの保険会社が危ないかもわからないし、ソルベンシー・マージン比率などを参考にできる程度だ。)
保険会社の信頼度や安全性については、少し大ざっぱに考えてしまうと、程度の差こそあれ、似たり寄ったりなのだから、気にすべき返戻率だ。
多くの人が学資保険を考え始める子供が0歳から3歳の期間において学資保険を契約した場合、返戻率で100%超える契約がほとんどであるし、105%から110%ぐらいの範囲となる学資保険も多い。学資保険を選ぶ際の返戻率の目標は、105%以上の返戻率とし、100%切るような返戻率の商品は候補から外すべきだろう。
返戻率の高い低いは何が影響するのか?
なぜ各社同じ学資保険なのに返戻率が異なってくるのだろうか?
簡単に要因について考えてみよう。学資保険の返戻率が変わる要因としては、付随する保障の内容(いらない保障が増えるほど返戻率は下がる)、保険料払込期間(保険料払込期間が短いほど、多くのお金を長い期間運用に舞わすことができるので返戻率が上がる。
ただし、保険料払込期間を短くするほど保険料も上がる)、保険会社のコストと利益(保険会社が保険料からコストと利益を抜くほど返戻率は下がる)、商品の機能(祝い金などの機能が増えれば増えるほど、コストがかかり返戻率は下がる)などが主なものだろう。
商品を選ぶ際は、上記のようなところにポイントを置いてみてみるとよいだろう。
保険料の払込期間は可能な範囲で短いものを選ぶこと
学資保険を選ぶにあたっては、保険料払込期間は可能な限り短いものを選ぶべきだ。短いものと言うと保険料の払込期間で、5年から10年程度のものがあるだろう。
通常多くの場合、払込期間は10年から15年以上のため、期間を短くすると保険料が高くなってしまう。これは1つのデメリットで、保険料自体を支払えなくなれば元も子もないが、それ以上に保険料払込期間を短くするメリットも多い。
まず、上記でも記載の通り、同じ商品でも保険料払込期間を短くすると返戻率が上がる。次に、万一途中解約した場合、保険料払込期間中の解約は大損する可能性が高く、保険料払込期間後の解約の方が損を少なくすることができる。
負担が少し多く大変でも、子供が小さい5歳とか10歳位になるまでに保険料の払い込みを終えておけば、その後満期保険金をもらうまで保険料負担が0となり、子供が中学生・高校生となるに従って負担が増える場合においても助かるだろう。
そんな理由から保険料払込期間は、可能な範囲で短いものを選ぶべきだ。
お祝い金は不要、大学進学時にできる限り一括でまとめてもらえるものが望ましい
満期保険金の支給タイミングは、大学進学時をターゲットとして、できる限りその時に一括して取れるものを選択すべきだ。
学資保険の中には中学校や高校等の入学時に少しのお祝い金が支給されるものがあるが、個人的にはそれらは不要だろうと思う。
なぜなら大学進学時にかかる費用と比べて、高校進学時にかかる費用は多くない場合の方が多く、保険に頼らなくてもなんとかなる場合も多い、というか何とかすべきだ。
もちろん、お祝い金が出ることで満期保険金は当たり前、減ってしまうため、大学進学に準備できるお金も減ってしまう。
なお、保険料を短期の運用期間でお祝い金として引き出してしまう事は運用効率的にも悪く、返戻率にも悪影響だろう。
また、お祝い金などの複雑な仕組みは、シンプルなものと比べて、その機能に支払うコストも発生する。
できる限りシンプルな仕組みの学資保険を選ぶべきだ。
子供(被保険者)の保障部分は不要か最低限でよい
返戻率がそれほど高くない学資保険を見ていると、子供の(被保険者)の保障がごちゃごちゃと無駄についていることが多い。
学資保険の目的は子供の学資を準備してやることで、子供の病気やケガ、死亡の保障を準備することではない。
リスク上、子供のそれらに対する保障の必要性を低く、必要保障額もないか、あってもごくわずかなのだから、特に備えておきたい人以外は、保障は不要だ。もし、保障をつけるとしても最低限に抑えるべきだろう。
親(契約者)の万一に備えた保障は付加しておく
上記で子供に対する保障は不要としたが、親(契約者)に対する保障は必要だ。多くの学資保険には保険料払込免除の商品機能が特約などで付けられていることが多い。
その払込免除の条件についても各商品で異なるので必ず確認しておくべきだ。
親(契約者)に万一があった場合は、もちろん保険料も払えなくなるし、それが原因で進学できなくなる場合だってありうる。学資は学資保険以外の預金などで準備することも可能だが、困るのがこういった場合だ。
保険であればこういった場合にも備えることができる。大きなメリットだ。こういったことから保険料払込免除についても十分に確認しておく必要があるだろう。
見積もりは複数商品が必須、3社程度は自分で選択したものを必ず比較する
色々な学資保険を選ぶポイントについて考えてみたが、1番のポイントはやはり返戻率だ。それを比べる意味でも複数社の見積もり比較は必須だ。
よく学資保険のランキング等で名前があがってくるおすすめの保険会社としてはかんぽ生命、ソニー生命、アフラック、フコク生命などがあるだろう。
このあたりを中心に、あと追加するとなれば直近に新商品を販売した日本生命や明治安田生命を加えたぐらいの会社で一度返戻率を比較してみるとよいだろう。
これらの会社では上記内容から言うとオススメでは無い保険会社や商品も含まれているが、上記を参考に取捨選択を行えば、それほど悪い商品を契約する結果とはならないだろう。
(参考)主な学資保険一覧(発売時期が直近のものから)
かんぽ生命「学資保険「はじめのかんぽ」 2014年4月
ソニー生命「学資保険(無配当)」 2014年1月
住友生命「たのしみキャンパス」 2013年12月
日本生命「ニッセイ学資保険」 2013年4月
明治安田生命「明治安田の学資のほけん」 2013年2月
フコク生命「みらいのつばさ」 2010年11月
アフラック「アフラックの夢みる子供の学資保険」 2009年3月
第一生命「Mickey(ミッキー)」 2008年1月
三井生命「スター誕生」 2007年8月
太陽生命「わくわくポッケ」 2007年4月
住友生命「スミセイのこどもすくすく保険」 2004年3月
ソニー生命「5年ごと利差配当付学資保険」 1998年5月
朝日生命「えくぼ、ゆ・め」 1994年4月