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大手メガバンクや地銀と異なりわかりづらいネット銀行など新設銀行の規模のこと
ネット専業銀行(例えば、住信SBIネット銀行やジャパンネット銀行など)やその他の新しく設立された銀行など(セブン銀行やイオン銀行など)のように、数十年前にはなかったような銀行の名前を聞くことも多くなった。加えて、それに対して違和感を感じることも少なくなってきた。
しかし、歴史も浅く、会社のこともよく知らないため、それぞれの銀行がどれくらいの規模なのか疑問に思うこともあるだろう。
今回は、ネット銀行などの近年新しく設立された銀行などについて、預金残高や貸出金残高をもとにしたランク付けを考えてみたい。
また、それらからわかることについても少し考えてみたい。
ネット銀行などの新設銀行を規模でランク付けを考えてみると
預金残高でネット銀行など新設銀行をランクづけすると
※2017年3月期決算の数字をもとに作成
ランクA 預金残高で3兆円以上
- 住信SBIネット銀行 約4.0兆円
- 大和ネクスト銀行 3.1兆円
ランクB 預金残高で1兆円以上3兆円未満
- イオン銀行 約2.5兆円
- ソニー銀行 約2.1兆円
- 楽天銀行 約1.7兆円
- オリックス銀行 約1.3兆円
ランクC 預金残高で0.5兆円以上1兆円未満
- じぶん銀行 約0.7兆円
- ジャパンネット銀行 約0.6兆円
- セブン銀行 約0.5兆円
- SBJ銀行 約0.5兆円
ランクD 預金残高で0.5兆円未満
- 新銀行東京 約0.2兆円
貸出金残高でネット銀行など新設銀行をランクづけすると
※2017年3月期決算の数字をもとに作成
ランクA 貸出金残高で2兆円以上
- 住信SBIネット銀行 約2.3兆円
ランクB 貸出金残高で1兆円以上2兆円未満
- イオン銀行 約1.6兆円
- オリックス銀行 約1.5兆円
- ソニー銀行 約1.5兆円
ランクC 貸出金残高で0.5兆円以上1兆円未満
- 楽天銀行 約0.6兆円
- 大和ネクスト銀行 約0.5兆円
預金残高でも貸出金残高でも圧倒的な強さを見せる「住信SBIネット銀行」
上記で書いた預金残高や貸出金残高については、それぞれお金を預ける先として魅力的な銀行(預金残高)と、住宅ローン・自動車ローン・カードローンなどのお金を借りる先として魅力的な銀行(貸出金残高)というのを示しているのだろう。
そのような中、預金残高でも貸出金残高でも圧倒的な強さを見せるのが「住信SBIネット銀行」だ。
預金だけでなく、住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどサービスの幅が広いのが強みになっている。
下位ランクの銀行の中には、一部の分野に特化したり、銀行の本業とは少し離れたATMなどの手数料ビジネスに集中する銀行がある中で本来の銀行ビジネスで勝負し、断トツの成果をあげていると言えるのだろう。
規模は小さくとも個性が強い銀行が生き残る?
上の住信SBIネット銀行を除くと、下位の銀行は、全方位にわたって強いという銀行はあまりなく(あげるとするとイオン銀行、ソニー銀行、オリックス銀行ぐらいだろうか)、その他の銀行は特定分野に強い印象だろう。
具体的には、預金で強い銀行や貸し出しで強い銀行、または両方とも強くはないものの手数料収入を稼ぐのが得意な銀行などに分けられるように思う。
インターネットで住宅ローン手続きが完結するじぶん銀行や、投資用ワンルームマンションの住宅ローンに強みを持つオリックス銀行など、各銀行は得意分野や独自の魅力をつくり上げられるような努力を行っているが、規模が少しぐらい大きくても個性や特徴がなければ銀行として生き残ることができないことを示しているのだろう。
収益力をみると違った側面も
上のランクでは扱ってはいないが、収益力を確認すると違った側面も見えるので最後に少し触れておこう。
2017年3月期決算ベースで当期純利益に着目すると、100億円を超えるのは、セブン銀行、イオン銀行、楽天銀行、オリックス銀行だ。
オリックス銀行を除くと大手の小売業やインターネット通販業が保有する銀行となっている。
上の作成したランク一覧では下位にとどまるものの収益面では上位の銀行以上の利益をあげているのが驚きだろう。
セブン銀行やイオン銀行は、全国の集客力のある店舗にATMを設置できるのがメリットでATM利用手数料が大きな収益源となっている。
全国各地にあるセブンイレブンやイオンにATMを設置できるのはとても有利で、店舗の立地や集客力をうまくいかしているとも言える。
また、イオン銀行については本業の小売業と連携し、住宅ローン契約者向けに、買い物代金を一定期間割り引く(5%)サービスも行っていて、家計を握ることの多い女性の関心も集めている。
その他、セブン銀行はじぶん銀行などとスマホによる入出金サービスを開始しているが、ATMとしての利便性を高めるものであり、どこにこれから注力しようとしているのかがわかるだろう。
ATMによる手数料ビジネスは、預金や貸し出しの規模を追求しなくとも収益があがるシステムで、これまでの銀行とは違ったビジネスモデルだろう。
このようなネット銀行やその他の新設銀行を利用する際は、それぞれの銀行の特色を理解した上で利用すると、それらの銀行を上手に活用できるだろう。