金融機関におけるリスク商品販売にはどのようなルールや義務があるのか?

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銀行や証券会社などの金融機関におけるリスク商品販売におけるルールや義務について

最近では、銀行が投資信託を販売したり、証券会社が保険を販売したりなど、業種の垣根を越えたリスク商品販売が当たり前に行われるようになった。

そして、銀行や証券会社などがリスク商品を販売するのは、多くの場合、時間にもお金にも余裕があるリタイヤメント世代以上の顧客となっている。

年齢層の高い高齢者などへの販売もそれなりに多く、場合によってはトラブルになる場合だってあるだろう。

銀行や証券会社などの金融機関におけるリスク商品(リスク性金融商品)販売におけるルール・義務があるのだろうか?
ふまえておきたい代表的な事項について少し考えてみよう。

銀行や証券会社などの金融機関におけるリスク商品(リスク性金融商品)販売におけるルール・義務

銀行や証券会社などの金融機関におけるリスク商品(リスク性金融商品)販売におけるルール・義務について、重要だと思われる物を抜粋するとすると以下のようなものがあるだろう。

全てのルールや義務を書くことはできないため、代表的なものついて記載してみよう。

金融商品取引法

第三十七条の三 (契約締結前の書面の交付)

第三十七条の三 では、金融商品取引業者等は、金融商品取引契約の前に顧客に対して、以下の事項等を記載した書面を交付しなければならないとされている。

  • 金融商品取引契約の概要
  • 手数料、報酬その他の当該金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき対価に関する事項であつて内閣府令で定めるもの
  • 顧客が行う金融商品取引行為について金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動により損失が生ずることとなるおそれがあるときは、その旨
  • 金融商品取引業の内容に関する事項であつて、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして内閣府令でめる事項

第三十八条(禁止行為)

第三十八条では、以下のような行為等が禁止されている。

  • 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
  • 顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

第三十九条 (損失補てん等の禁止)

第三十九条 では、損失補てんを約束して勧誘する行為も禁止されている。

第四十条(適合性の原則等)

第四十条では、金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならないとされている。

  1. 金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて投資者の保護に欠けることとなつており、又は欠けることとなるおそれがあること。
  2. 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。

金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)

第三条 (金融商品販売業者等の説明義務)

第三条では、金融商品販売業者等の説明義務として、以下のような項目がある。また、顧客の知識、経験、財産の状況及び当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならないとされている。

  • 元本欠損が生ずるおそれと変動の原因となる指標
  • 契約の解除に関わる制限等
  • 金融商品の販売に係る取引の仕組み 等

第四条 (金融商品販売業者等の断定的判断の提供等の禁止)

第四条では、金融商品販売業者等は、金融商品の販売等を業として行おうとするときは、当該金融商品の販売等に係る金融商品の販売が行われるまでの間に、顧客に対し、当該金融商品の販売に係る事項について、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為(以下「断定的判断の提供等」という。)を行ってはならないとされている。

銀行法

第一二条の二(預金者等に対する情報の提供等)

第一二条の二では、預金者等に対する情報の提供等について記述されている。銀行法であるため、銀行においてではあるが、重要な事項の顧客への説明について記載されている。重要事項の説明義務とは以下のような項目等を説明することだ。

  • 預金との誤認防止
  • 預金保険の対象ではなく、元本の保証もないこと

銀行法施行規則

第十三条の五  (金銭債権等と預金等との誤認防止)

第十三条の五では、金銭債権等と預金等との誤認防止について記載されている。銀行は、顧客に対し、書面の交付その他の適切な方法により、預金等との誤認を防止するための以下の説明を行わなければならないことが記載されている。

  • 預金等ではないこと。
  • 預金保険法第五十三条 に規定する保険金の支払の対象とはならないこと。
  • 元本の返済が保証されていないこと。
  • 契約の主体
  • その他預金等との誤認防止に関し参考となると認められる事項

高齢者に対するリスク商品販売で問題となりやすい事項は?

このように、銀行や証券会社などの金融機関において、リスク商品を販売する際にはルールや義務や義務があることを今回は確認してみた。

特に、「高齢者に対するリスク商品販売で問題となりやすい事項は?」と言う観点から考えると、「重要事項の説明義務」「断定的判断の提供の禁止」「預金との誤認防止」「適合性の原則」などではないだろうか?これらの項目については、契約した後で問題がおきたとしても、うやむやになりやすい事項だ。

金融商品を契約する契約者としては、契約前からこれらのことについて特に認識しておき、提案を行う金融機関担当者がこれらのルールを遵守しているか?説明は十分か?等についてしっかり確認する必要があるだろう。