SBIいきいき少短の死亡保険はおすすめな少額短期保険(ミニ保険)なのか?SBIいきいき少短の死亡保険のメリットやデメリット、評価について考える

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注目がますます高まる少額短期保険(ミニ保険)や共済などの保障商品

最近は、人々の保険や保障に対する考え方も少しずつ変化していて、必要最低限の保障を最小限の支出でかしこくカバーしたいという人も増えているようです。

そのような中で注目を集めているのが少額短期保険(ミニ保険)や共済などでしょう。

確かに少額短期保険(ミニ保険)や共済をうまく活用することで、最小限の出費で必要な保障をカバーすることも可能になります。

しかし、最近では少額短期保険(ミニ保険)や共済でない一般的な生命保険会社の生命保険商品であっても、競争が激しく保険料が低廉化しているだけに、どちらが得かというのはしっかりと見極める必要がでてきているとは感じるところです。

万一のお葬式代や身の回りの身辺整理などに備えて最低限のお金をのこしてあげたい。そんな想いにこたえる少額短期保険(ミニ保険)である「SBIいきいき少短の死亡保険」

少額短期保険会社の中で、死亡保険や医療保険を扱っているのがSBIホールディングス(株)のグループ会社の1社であるSBIいきいき少短(SBIいきいき少額短期保険株式会社)です。

※SBIいきいき少短は、会社名の「いきいき」のとおり、定期購読雑誌「いきいき(現:ハルメク)」を発端とした共済会をルーツとした会社で2002年から営業を開始、2013年にはSBIホールディングスの株式取得によりSBIホールディングス(株)の傘下に収められています。

ちなみに雑誌「いきいき(現:ハルメク)」は、60歳前後以上のシニア世代女性向け定期購読雑誌です。

こういったルーツを考えてみてもわかるとおり、子どもが手を離れたような、シニア世代と呼ばれる年齢の人が、万一のお葬式代や身の回りの身辺整理などに備えて最低限のお金をのこしてあげたいと考える、そんな想いにこたえるような保険商品(死亡保険)になっていることがわかります。

これから、SBIいきいき少短の死亡保険のメリットとデメリットについて以下では考えてみたいと思います。

SBIいきいき少短の死亡保険のメリット

メリット1 シンプルでわかりやすい商品性(11疾病保障特約を除いては…)

このSBIいきいき少短の死亡保険のメリットの1つめは、シンプルでわかりやすい商品性(11疾病保障特約を除いては。この11疾病保障特約についてはデメリットのところで詳しく考えます)にあります。

この商品の特徴はと言うと、以下のようなもので、とてもシンプル・簡単なものになっています。

このSBIいきいき少短の死亡保険の特徴

  • 被保険者が死亡した場合に死亡保険金を受け取ることができる死亡保険(高度障害状態に対する保障はない)。
  • 保険期間は、責任開始日から1年間。ただし、契約を解約しない限りは満89歳まで毎年自動継続される。
  • 付加できる特約は1つのみ(11疾病保障特約)。

※特約は、他にもインターネット申込特約やクレジットカード払特約などがあるが、それらは申し込み方法や支払い方法等に応じて自動的に付加されます。

  • 保険料は5歳刻みの年齢帯別に設定されていて、加齢により年齢帯が変更になる場合、ほとんどの場合において保険料が上がります。
  • 告知は必要です。

一般的な定期保険等と同じですが、シンプルで分かりやすい仕組みになっています。

メリット2 少額の死亡保障を低廉な保険料で準備することができる

メリットの2つめは、少額の死亡保障を低廉な保険料で準備することができるということです。

少額短期保険でない、一般的な生命保険会社の定期保険の場合、死亡保障の最低保険金額は500万円ぐらいが多いと思います。

例えば、100万円ぐらいをのこしてあげたいと考えていても、一般の生命保険会社の定期保険では、最低保険金額の問題でそれができない場合もあります。

しかし、その点については、このSBIいきいき少短の死亡保険であれば100万円という少額の死亡保障であっても準備して、のこしてあげることもできます。

例えば、54歳の女性が100万円の死亡保障を準備する場合、保険料は月々490円で、つまりはワンコイン以下で保障を準備することができます。

少額の死亡保障を少額の保険料で準備することができます。

少額短期保険の大きなメリットだと思います。

しかし、デメリットのところで詳しくは説明しますが、保障内容に対する保険料は割安であるとは言えない点には注意が必要です(高額の保障になればなるほど、割高な保険料はデメリットになってきます)。

メリット3 少額短期保険であっても付帯サービスが付く

このSBIいきいき少短の死亡保険は、少額の死亡保障を低廉な保険料で準備できる少額短期保険ではありますが、付帯サービスもしっかりと用意されています。

少額短期保険のためそのようなサービスなどはないかと思いきや、そんなこともなく、しっかりとした付帯サービスが準備されているのはとても良いことだと思う。

突然の病気やケガ、体調等の相談に医師や看護師・保健師などが24時間応じてくれる24時間無料電話健康相談やセカンドオピニオンサービス、東京の2病院での人間ドック優待やこころのサポートなどなど、以下の付帯サービスになっています。

加入者が利用できる付帯サービス

  • 24時間無料電話健康相談
  • セカンドオピニオン(ベストドクターズ・サービス)
  • 人間ドック優待
  • こころのサポート
  • いきいき無料保険相談サービス
  • 相続サポート勇退
  • 葬儀費用勇退

※各サービスの詳細は、2021年12月現在です。途中で変更される場合があります。ホームページ等の説明を参照してください。

上記では、一部の年齢や性別では月々500円以下から保障を準備することができると書きましたが、そのような低廉な保険料の保険でこれらの付帯サービスが受けられるのは評価すべきことだと思います。

ただし、付帯サービスを提供する会社は私が最もおすすめするT-Pec(ティーペック)ではないところが残念なところです。

しかし、このようなサービスがないよりかは、あった方がよいことは言うまでもないことですし、この点はT-Pec(ティーペック)でなくとも大きなメリットだろうと思います。

メリット4 84歳まで申し込みが可能、かつ保障は90歳まで継続が可能

メリットの4つめは、84歳まで申し込みが可能で、かつ保障は90歳まで継続が可能なことです。

一般的な生命保険では加入が難しくなってくる70歳以上や80歳を超えても申し込みが可能なことは評価すべきだと思います。

高齢になって保険に加入したいと思っても、加入できないようなときに、このSBIいきいき少短の死亡保険であれば加入できるという場合もあります。

もちろん、高齢になればなるほど保険料は高額にはなるという問題は別にあります。

一般的な生命保険に加入できない高齢になってまで、本当に葬儀代程度の死亡保険が必要か、という点については迷うところもあると思いますが、(貯蓄等では対応できないか?などの面において)、葬儀費用を目的として、のこされた家族(保険金受取人)が迅速に保険金を活用できるという点においては、そのメリットは大きいと思います。

というのも、被相続人が死亡した場合、被相続人の預金は口座が閉鎖されてしまい、相続手続き完了まで預金を引き出すことができなくなります。

保険金であれば保険金受取人は、葬儀費用などに保険金を受取人の意思で自由に使うことができるところがとても良いことです。

SBIいきいき少短の死亡保険のデメリット

デメリット1 低廉な保険料ではあるが、割安な保険料ではない

このSBIいきいき少短の死亡保険のデメリットの1つめは、「低廉な保険料ではあるが、割安な保険料ではない」ということだと思います。

保障額が300万円ぐらいまでであれば、年齢等によっては相当に保険料が安いように感じるでしょうが、保障額が少なく年齢も若ければ保険料は安くて当然となります。

一見保険料は安く見えるかもしれませんが、保障額が低いため当然のことだと思います。

実際のところはネット生保等の定期保険を年限等をしっかり設計して契約した方がトータルで考えて保険料が割安になる場合も多くあります。

特に300万円や500万円を超えるような保障になってくると、その割安でない保険料というデメリットが悪い意味でさらに効いてくることもあると思います。

つまりは、100万円から300万円程度までの死亡保障をのこすのであれば、保険料もそれほど高額でないため悪くは感じないだろうが、死亡保障が400万円・500万円から900万円(最高額)の間になってくると、それなりに保険料も高くなってくるため、保険料の割高さが目立ってきます。

この場合、一般的な生命保険会社の定期保険に加入できるのであれば、割安な定期保険を別途選んだ方が保障にかかるお金を節約できると思います。

デメリット2 5歳刻みで保険料が上がる

このSBIいきいき少短の死亡保険は、自動継続されるものの保険期間は1年の保険となっています。

そのため、保険料は一定額の保険料タイプではなく、5歳刻みで保険料が上がっていくタイプの保険となっています。

男性と女性の保険料を比較すると、寿命などの面でもちろん女性の方が同じ年齢において保険料は安いものの、その女性であっても70歳を超えると保険料が急激に上昇します。

50歳や60歳代で割安な保険料に魅力を感じてこの保険に加入した人でも、70歳代以降の保険料の上昇には、何も知らない場合などは正直びっくりするかもしれません。

少額短期保険でない、一般的な保険会社の販売するような定期保険で、保険期間で10年タイプや20年タイプの定期保険であれば、その保険期間において保険料が値上がりすることはないため、そのようなネガティブな驚きはおこらないでしょう。

デメリット3 シンプルな保険をシンプルでなくす「11疾病保障特約」

メリットのところにも書きましたが、確かにこのSBIいきいき小短の死亡保険は商品性がシンプルでわかりやすい保険です。

ただし、この保険のただ1つの特約(11疾病保障特約)を除いてとなるでしょう。

この特約(11疾病保障特約)とは、対象となる 11 種類の疾病に罹患し、(悪性新生物以外については、所定の状態となったときや所定の手術を受けたとき)に、特約 11 疾病保険金(特約保険金)が支払われるというものです。

支払いの対象となる疾病は次のとおりとなっています。

  1. 悪性新生物
  2. 急性心筋梗塞
  3. 拡張型心筋症
  4. 脳卒中
  5. 脳動脈瘤
  6. 慢性腎不全
  7. 肝硬変
  8. 糖尿病
  9. 高血圧性疾患
  10. 慢性閉塞性肺疾患
  11. リウマチ

ちなみに、悪性新生物以外の対象疾病は、発病しただけでは、保険金支払いの対象とはならない点に注意が必要で、支払いの条件については詳しく確認する必要があります。

この特約については、特にデメリットの部分がわかりにくく、全くもってシンプルとは言えません。

この特約は、悪性新生物以外の対象疾病は、発病しただけでは保険金支払いの対象とならないことに対しては相当に注意が必要です。

この点を十分に理解しておかないと、万一それらの疾病にかかってしまっても、すぐに保険金が支払われるものだと勘違いしてしまう可能性もあります。

支払いの条件については、契約概要等にて確認ができるが、一読する限り条件は厳しそうす。それらの疾病に罹患しても保険金が支払われないことも大いにあるでしょう。

また、この特約保険金の支払い回数は1回のみで、特約保険金が支払われた場合、この特約が消滅していまうことについても注意が必要でしょう。

この点については、ホームページの該当箇所で十分に説明がないため、契約概要などを細かく読まないとわからない部分かもしれません。

ただし、SBIいきいき小短では、ご契約のしおり・約款をホームページに公開していて、契約前に確認できるところは大きく評価できることだと思います。

11疾病保障特約は付加すべきか?

上記のようなことを考えると、あえてこの特約を付加しておいた方が理由というのは個人的には見当たらないような気もします。

支払い条件も厳しく複雑で、支払われる可能性がわからないくらいのものにおもえます。なおかつ保障もそれほど手厚いものではないことを考えると、あまりおすすめできる特約とは言えないのかもしれません。

デメリット4 生命保険料控除の対象とならない

これについては、この商品に限ったことではありません。少額短期保険の保険料は所得税法上の生命保険、または損害保険料控除の対象とはならないというデメリットが全ての小短保険商品にあります。

少額短期保険でない、一般的な生命保険であれば、生命保険料控除の対象となりますので、保険料が割安な定期保険などがあれば、割安な保険料分以外の税制上のメリットがある場合もあると思います。

このSBIいきいき少短の死亡保険に関しては、死亡保険金で300万円を超えるような契約への加入はおすすめできないと考えていますが、こういった税制上のデメリットもその理由の1つとなっています。

SBIいきいき少短の死亡保険の評価すると

基本、SBIいきいき少短の死亡保険については、万人にすすめられる割安な保険というわけではないと考えます。

一般的に割安とされる保険会社の定期保険と比較すると保険料は割高なように思えます。

業績情報などを見てみてみますと、とても健全で、財務状況的に安心でよい面もあります(ソルベンシー・マージン比率は平成27年度末時点で3691.5%もあります)。

※2021年度末では、1974.1%まで低下しています。契約者の増加などが要因であると考えられます。

年齢や加入条件等の都合によりこの保険しか契約できないような場合があれば仕方がないですが、その他の一般的な生命保険会社の定期保険を申し込めるような場合であれば、割安なそれらを選択した方がよい場合が多いかもしれません。

上でも書きましたが、生命保険料控除で税制上のメリットもあるような人であれば、保険料の割安さ以上のメリットもあるとおもいます。

しかし、それらの保険に加入できない何らかの事情(年齢・保険金額等)がある場合で、どうしても自分の万一に備えて準備しておきたいと考えるような場合は有効な保険だと思います。

そういった意味では、まず一般的な生命保険会社で、割安な定期保険から検討すべきだろうと思います。

それらが契約できないことが判明した場合、このSBIいきいき少短の死亡保険に加入できるかを考えてみてもよいと思います。

また、死亡保障の保障額(保険金)は最低限程度にとどめておくべきです。必要最低限の保障を考えるべきです。

そういったことから、少額短期保険などの本来の性質等を考えても死亡保障額は300万円程度までが妥当なところだと思います。

(現在では、法令の定める経過措置により、2018年3月31日までに責任開始している保険契約に限り、引受限度額が900万円となっています。本来の引受限度額は300万円です。)

シニア世代の女性向けにしっかりと考えられた死亡保険ではあるものの…

このSBIいきいき少短の死亡保険という商品自体は、「いきいき(現:ハルメク)」という60歳前後以上のシニア世代女性向け定期購読雑誌がルーツの少額短期保険だけに、それらの世代を中心に考えられた商品設計になっているといえます。

また、それらの世代がより高齢になっていく中で、高齢になっても保障に加入できる商品を作っている点等はそれなりに評価できます。

しかし、実際の加入にあたっては、上記のような点をふまえた上で加入(契約)するとよいと思います。