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「介護に備える」を身近にする保険「My 介護 Best(無配当終身生活介護年金保険)」
太陽生命は、2014年3月3日、募集代理店である三菱東京UFJ銀行を通じて、無配当終身生活介護年金保険「My 介護 Best」を発売した。(正式名称は「無配当終身生活介護年金保険(低解約払戻金型) (002)」)
「My 介護 Best」は、公的介護保険制度で要介護2以上の認定を受けた場合、または会社所定の要生活介護状態に該当した場合、毎年終身生活介護年金が支払われる介護年金保険だ。
仕組みを見る限り、商品内容もある程度分かりやすく、条件によってはおすすめできる介護関連の保険で「介護に備える」を身近にする生命保険だろう。
簡単に、この「My 介護 Best」について考えてみよう。
終身にわたり毎年支払われる「終身生活介護年金」
要介護2以上、または会社所定の要生活介護状態が180日継続した場合、終身にわたり、「終身生活介護年金」が支払われるのが、この保険の一番の特徴だ。
要介護認定も要介護2以上と中程度の介護から適用されることも評価できるところだ。
例えば、契約時の年齢が40歳で全期前納プラン、基本年金額が60万円(全期前納保険料4,137,010円)の場合を仮定して考えてみよう。
例えば2年後の42歳の時に所定の要件を満たした要介護状態になってしまった場合、年額で60万円の年金型が終身にわたって支払われる。
また、初回(第1回)終身生活介護年金のみ基本年金額の2倍の金額である120万円が支払われ、(初回年金割増特則)があらかじめ付加されているため)第2回からは、60万円の年金額が終身にわたって支払われる。
10年間の支払保証期間
単純に考えれば、第1回が120万円、第2回が60万円(累計で180万円)、第3回が60万円(累計で240万円)というふうに計算していくと、第6回の60万円で、累計が420万円となり、全期前納保険料の約414万円を上回り、それ以降も終身にわたって60万円を毎年受け取ることが可能だ。
一般的に医療の発達などの要因もあるが、介護の期間は延びており、長期化することも予測されるため、終身にわたる保障というのはとても心強い。
また、たとえ数年で死亡した場合でもであっても、年金を10年間は最低支払うという支払保証期間があるので安心だ。10年間分の年金はというと、現金の総額で660万円となり、支払った保険料を大きく上回る。
保険の目的どおり、介護に使用する目的であれば、介護のための資金を保険で増やすことも可能であるし、それを介護用途に使用する限りは、その介護年金には税金も課税されない(非課税)ためメリットはそれなりに大きいことがわかるだろう。
支払保証期間中の終身生活介護年金を年金で受け取る代わりに一括での受け取りも可能
加えて、支払い保証期間中の終身生活介護年金は、年金での受け取り以外にも、一括での受け取りも可能だ。
ただし、年金がまるまるもらえるわけではなく「支払保証期間中の残存期間の現価相当の金額」となることに注意が必要だ。
この金額は上記の例でいうところの660万円ではなく、それよりも少ない金額になってしまう。
介護状態に該当せず死亡した場合は、死亡給付金が支払われる
介護状態に該当せず、そのまま死亡してしまった場合は、どうなるのだろうかと多くの人が思うことだろう。
この場合であっても死亡給付金が支払われる。ただし、死亡給付金の金額は、保険料を払い込んでいる最中は初期であればあるほど金額が少なく、年々金額が増えていき、保険料の払い込みが完了すると基本年金額の10倍まで増える仕組みである点に注意が必要だ。
というのも契約初期であれば、保険料払込期間が長い契約であればあるほど死亡給付金が少ないからだ。
上記の例の場合では、契約して1ヶ月の頃で死亡給付金が10万円程度からスタートし、5年後の払込期間満了時には、600万円まで増えていく仕組みだ。
そのため、契約の初期であれば死亡に備える保険とはならないので、それを踏まえて契約すべきであろう。
期間の経過に応じて解約払戻金が支払われる
この「My 介護 Best」の商品の魅力として解約払戻金の魅力があるだろう。
この保険は、解約払戻金があり、保険料の払込期間を過ぎてしばらくすると解約払戻金が払い込んだ保険料を上回るようになる。
例えば上記の例であれば、契約当初に払い込んだ全期前納保険料が、4,137,010円に対し、5年後の解約払戻金で4,104,000円、6年後の解約払戻金で4,153,800円と6年経つと解約しても払い込んだ保険料を下回ることはない。
もちろん解約するということは、保障がすべて無くなる(契約が消滅する)ことを意味するため、保障の目的を達することができず、なくなってしまうものの、どうしてもお金が必要となってしまった場合は心強い。
保険料払込期間中の解約には注意
ただし、保険料払込期間中の解約には注意が必要だ。
死亡給付金の場合と少し似ているが、保険料払込期間中の解約返戻金額は、保険料払込期間満了後の解約返戻金と比べてかなり少なくなってしまう。
これはこの「My 介護Best」が「低解約返戻金型」の保険商品であることが理由で、そうでない保険と比べて解約返戻金が70%程度まで少なくなってしまう。
例えば上記の契約例であれば、保険料払込期間中の4年11ヶ月後に解約した場合の解約返戻金は、2,889,390円と払い込んだ保険料の69.8%だ。保険料の30%以上、約120万円以上を失ってしまうことになってしまう。
これがこの保険の最大のリスクでありデメリットであろう。
したがって、保険料払込期間中に解約する可能性が少しでもあれば、契約すべきではない。
上記の契約例を例とした場合、最低6年程度は解約すべきではないだろう。またこういった理由から保険料払込期間については長く設定すべきではなく、可能な限り短くすべきだ。
「全期前納プラン」と「分割プラン」
この「My 介護 Best」は、保険料払込の方法として、2つの方法から選択が可能だ。
1つは「全期前納プラン」でもう1つが「分割プラン」だ。毎月保険料をコツコツ支払うのが「分割プラン」で、毎回払い込む保険料を契約時にまとめて払い込む(全期前納)のが「全期前納プラン」だ。
当然2つのプランの違いは、払込保険料の額の違いで、分割プランであれば、千円、万円単位の保険料になるのに対し、「全期前納プラン」であれば何百万円単位となってしまう。
「全期前納プラン」というのはある程度お金のある人向けで、例えば、400万円の保険料を払い込める人は、資産でも最低でも1000万円や1500万円以上ある人でないといけないだろう。
この保険は、三菱東京UFJ銀行で取り扱う生命保険だが、そういった意味で銀行の資産家向きであるといえるだろう。
2つのプランのどちらを選ぶべきか?
上記のようなことを踏まえ、上記2つのプランのうちどちらを入れ選ぶべきか?
それについては迷うことなく全期前納プランであろう。理由は、保険料払込期間の問題だ。
全期前納プランで5年、分割プランで最低10年が保険料の払込期間となっている。(全期前納プランでは5年分の保険料をまとめて契約時に支払ってしまい、期間の経過に応じて保険料として割り当てていく。
まだ、しかるべき期間を迎えていない保険料は、「前納未経過保険料」として区別される。)
上記の通り、この保険料払込期間が長くなればなるほど、死亡給付金や解約返戻金の面で不利となる。保険料の払い込みが終わらなければ、死亡給付金は低いままだし、解約返戻金も大きく元本割れを起こすだろう。
そのような面から考えて、保険料払込期間5年というものは保険商品としてはそれほど多くないもので、リスクを5年に抑えられるという面でお勧めだ。ただし、高額な全期前納保険料を支払えるならばであるが…

「My 介護 Best」は多くの人に勧められる(おすすめできる)保険か?
単純にお金の運用として考えるのであれば、利回りとしては大したことはないが、本来の目的である介護に備えるという面で考えた場合には、終身で年金が支払われる点、10年間の年金支払保証期間がある点、介護として使う年金が非課税となる点など非常に介護の保障に手厚く、この保険を契約する意味はあると思う。
また、中程度の介護状態である要介護2から年金が支払われる点も評価できるポイントだと思う。(三菱東京UFJ銀行では、明治安田生命の「かんたんケアワイド」という商品も取り扱っているか、それでは要介護3以上となっている。)
ただし、勧められるのは全期前納プランの方であり、分割プランの場合は、あまり長い保険料払込期間のものはあまり勧められないだろう。