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子どもが生まれたら考える学資保険、契約することは当たり前なのか?
子どもが生まれたら多くの人は学資保険に加入すると思います。
このような事実を考えてみると、学資保険に入ることは親として当たり前のこと、多くの人はそう考えるかもしれません。
しかし、はたして必ず学資保険に加入しておく必要があるのでしょうか?
子どもが生まれたら学資保険というのは必ず契約する必要があるものなのでしょうか?
今回は、教育費の実際のところと学資保険の必要性(学資保険は必要か?)について少し考えて見ましょう。
子どもの学費(教育費)をちゃんと準備できるのであれば学資保険は不要
結論から言うと、「学資保険は常に必要」という訳ではありません。
というよりも、むしろ子どもの学費(教育費)をちゃんと準備できる場合であるとか、世帯年収が高く貯蓄が十分な場合、自宅から公立校に通うというのであれば学資保険は不要な場合も多くあります。
学資保険が必要な場合というのは下で詳しく書きますが、学資保険には1つ大きなメリットもあります。
学資保険の1つの大きなメリット 契約者である親に万一のことがあった場合の備えを行うことができる
学資保険の1つの大きなメリットとは、契約者である親に万一のことがあった場合の備えを行うことができるというメリットです。
詳しくは、多くの学資保険には「保険料払込免除特約」という特約を付加することができ、この特約を付加した場合、契約者である親に万一のことがあった場合は、以後の保険料の支払いが不要となるというものです。
この特約を付加しておくことで、親に万一があったとしても子どもの学費を準備してあげることができます。
これについては、貯蓄では備えることができない保険としてのメリットでしょう。
学資保険を検討する際は、この保険料払込免除特約の有無は必ず確認しておく必要があります。
なお、特約がないものもあるので注意が必要ではあります。
また、逆に子どもの保障がある学資保険もありますが、子どもの保障についてはリスクから考えてそれほど必要とは思えません。
それよりも返戻率を重視すべきだと思います。
教育費の実際のところ 教育費は実際にどのくらいかかるのか?
次に、教育費が実際にどのくらいかかるのか?という教育費の実際のところを確認してみましょう。
確認する上で、役立つ統計資料が以下のとおり日本政策金融公庫が出されています。
日本政策金融公庫 – 教育費負担の実態調査結果
「教育費負担の実態調査結果」(平成 28 年度)
この統計資料から、わかる教育費の実際のところは以下のようなものでしょう。
実際のところ1 高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用は子ども1人あたり975万円
統計からわかるまず1つめのこととして、高校入学から大学卒業までに必要な費用というのがあります。
それは平均で975万円となっています。
内訳としては、高校が267.4万円、大学が707.6万円となっています。
高校から大学まで子ども1人1,000万円ぐらいかかると思っておけば大体のところは大丈夫だと思います。
そのため、子どもが2人の場合は、2,000万円となります。
意外と教育費がかかることに驚かれる方もいるでしょう。
これは、あくまでも平均値であり、私立大学、特に私立大学理系を選択したような場合にはより高額になることを頭に入れておく必要はあります。
実際のところ2 世帯年収が低いほど、世帯年収に占める在学費用の割合が高まる 200万円以上400万円未満の場合では36.6%も割合を占める
これは当たり前のことかもしれませんが、世帯年収が低いほど、世帯年収に占める在学費用の割合が高まります。
収入が少なければ少ないほど、教育費の負担が高くなるという当たり前のことではありますが、注目すべきはその割合でしょう。
200万円以上400万円未満の場合では36.6%、400万円以上600万円未満の場合では21.7%、600万円以上800万円未満の場合でも17.0%となっており、2割から4割を占めていることがわかります。
多くの場合において、世帯年収の2割から3割程度は教育費が占めてしまうことを認識しておく必要があります。
これは、それなりに大変であることに気がつくのではないでしょうか。
実際のところ3 自宅外通学者への仕送り額は、月額平均にすると12.1万円
また、自宅から遠く離れた大学へ通うことになった場合、自宅外からの通学費用(下宿費用等)も必要になってきます。
この額についても非常に大きくなってきます。
実際の数字を統計から確認すると自宅外通学者への仕送り額は、平均年間145.1万円(月額12.1万円)となっています。
4年間で考えると600万円弱となります。
地方から都会の大学へ進学するような家庭の場合はこの仕送り額についてもしっかり準備しておく必要があります。
実際のところ4 教育費の捻出方法は「節約」「蓄えの取り崩し」「本人のアルバイト」など
教育費の捻出方法は、上位から順に、「教育費以外の支出を削っている(節約)」が28.2%、「 預貯金や保険などを取り崩している」が22.1%、「子ども(在学者本人)がアルバイトをしている」が19.6%、「 奨学金を受けている」が17.7%、「残業時間やパートで働く時間を増やすようにしている」が9.8%となっています。
多くの場合において、外食費や旅行・レジャー費、衣類の購入費などの支出を削ったり、預貯金や保険から捻出している場合が多いようです。
学資保険は必要か?
それでは、実際に学資保険は必要かどうかについて、ポイントと一緒に考えてみましょう。
ポイント1 『世帯年収』世帯の収入が低いほど学資保険の必要性は高い
ポイントの1つめは、世帯年収についてで、世帯の収入が低いほど学資保険の必要性は高いということです。
というのも、上で見たとおり教育費はあまりにも高額で、加えて世帯年収が低いほど、世帯年収に占める在学費用の割合が高まるものです。
年収に占める割合が、3割もまたは4割も教育費が占めてしまった場合、生活が大変になることは目に見えています。
世帯年収が低いほど、毎月の保険料を捻出することは大変になってくると思いますが、それでも頑張って早くから学資保険などで備えておくのがよいだろう。
ポイント2 『進学先』私立大学、特に私立大学理系に進学するような場合には必要性は高い
ポイントの2つめは、進学先についてです。
進学先が、私立大学、特に私立大学理系に進学するような場合には必要性は高くなります。
なぜなら、かかる学費が全く異なり、高額になってくるためです。
簡単に表すと以下のようになります。
私立短大 << 国公立大学 << 私立大学文系 << 私立大学理系
また、医学部や歯学部などの場合は、国公立であればいいものの、私立であれば、学費はとんでもないこととなってしまいます。
こればかりは、子どもの進む道のためなんとも備えがたい部分はありますが、ある程度どのような進路を選んでも大丈夫なように学資保険などで備えを準備しておきたいところはあります。
ポイント3 『自宅外通学』自宅外通学の場合は必要性が高い
ポイントの3つめは、自宅外通学についてです。
現在住んでいるエリアが首都圏や都市圏ではなく、大学がないようなエリアの場合、自宅外から都会などの大学に通うことになるでしょう。
そのような自宅外通学の場合、多額の費用がかかることは上で触れたとおりです。
周りに大学などがなく、自宅外通学の可能性が高いような場合においては、備えておく必要があるでしょう。
ポイント4 『教育費の捻出方法』何らかの教育費を捻出できる方法がなければ必要性が高い
上で、教育費の捻出方法には「節約」「蓄えの取り崩し」「本人のアルバイト」「奨学金の受け取り」などがあることに触れました。
子どもが、大学に通うようになった場合、それらの捻出の努力は多くの場合必要になってくるでしょう。
しかし、それらの努力がなかなか難しい人や、それらの努力を行いたくない人もいるでしょう。
そのような人には学資保険は必要でしょう。
ポイント5 『備え』学資保険以外の金融商品、預金や投資信託等で備えることができない人は必要性が高い
教育費に対する備えとしては、必ずしも学資保険でなければならないということはないことありませんが、上でも触れたとおりとなります。
したがって、教育費については、貯金をして準備してもいいし、学資保険以外の保険、例えば終身保険などを使用してもいいし、もっと増える期待があるならば投資信託や株式で運用しても構いません。
もちろん、リスクについては各個人で追わなければならないですが、それらが自発的にできる人にとっては、必ずしも学資保険の必要はないでしょう。
しかし、それが難しい人にとっては、学資保険で準備しておいた方がよいでしょう。
ポイント6 『親の万一に備えて』親に万一があったときでも学費に困らないようにしたければ学資保険を契約した方がよい
最後に、自身(子どもの両親)に万一があった場合に教育費に困るようなことが想定されるような場合には、保険料払込免除特約のある学資保険を契約しておくとよいでしょう。
ただし、多額の生命保険金等が支払われるような場合は、その保険金で対応できるでしょうから、「どうしても学資保険で」ということにはならないでしょう。
上のポイントにピンときたならば…
上のポイントについてはどうだっただろうか?
少しでも上のポイントにピンときたものがあったでしょうか?
あったならば、学資保険について検討する必要があると思いますし、逆にこれらにピンとこない人にとっては、学資保険は不要だろうと思います。
これらのポイントをしっかりふまえた上で、学資保険の契約は検討する必要があるだろう。